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sub bとは?

理学分野「予測力の向上を目指す」

官民連携による超高密度地震動観測データの収集・整備

首都圏地震観測網(MeSO-net)を安定的に運用し、その観測データに加えて、基盤的地震観測網および民間企業等により設置された機器による大量かつ様々な品質のデータを統合し、それらの利活用を可能とするマルチデータインテグレーションシステムを開発する。より稠密な観測データ収集のため、スマートフォンを用いた揺れ観測技術やMeSO-net観測点をハブとするサテライト観測データ伝送技術を開発する。首都圏の地震ハザード評価に資するため、過去~現在の地震像を解明し、将来の大地震による揺れの予測手法を開発する。

Research Themes

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官民連携超高密度データ収集

分担責任者:防災科研 地震津波火山ネットワークセンター 主幹研究員 関口 渉次
分担研究者:サブプロ(b)統括 /防災科研 地震津波火山ネットワークセンター長 青井 真

首都圏周辺に約2~5km間隔で展開されている首都圏地震観測網(MeSO-net)を安定的に運用することにより、首都圏における稠密な地震観測データを確実に収集する。地面の揺れを測定する地震計は、人工的なノイズの少ない場所に設置してきたが、首都圏の地震活動を把握するためには、ノイズの多い首都圏でも測定する必要がある。そこで、地震計を集中的に設置して、シグナルの向上を目指している。観測点の約9割は、比較的静かな環境である小中学校で、20mの深さの縦孔に設置された地震計のデータを24時間365日連続して収集する。

図:官民連携超高密度データ収集

2a

マルチデータインテグレーションシステムに関する技術開発

分担責任者:防災科研 地震津波火山ネットワークセンター 主任研究員 木村 武志

MeSO-netによる高密度地震観測データと基盤的地震観測網による強震観測データを受信・統合管理するマルチデータインテグレーションシステムを開発する。MeSO-netによる地中観測データから、地表の揺れを予測するアルゴリズムを実装し、地表の揺れの指標演算を実現する。過去災害データを用い、首都圏の揺れを高解像度で可視化し、システム検証を実施する。民間企業等の計測機器による地震データの統合管理のために、首都圏版の超解像度強震モニタおよび情報配信システムを開発する。

図:マルチデータインテグレーションシステムに関する技術開発

2b

MeSO-net観測点における地表地震記録の推定

分担責任者:防災科研 マルチハザードリスク評価研究部門 主幹研究員 先名 重樹

MeSO-net地震計と同じセンサー特性を持つ地震計を用いて、各MeSO-net観測点において微動アレイ観測および解析を実施する。また地表地震計として、一定期間臨時観測を実施することで地震記録を取得し、地中・地表の増幅特性を検討する。また、微動アレイ観測によるS波速度構造の精度検証とチューニングを行い、地盤のS波速度構造の同定と地表地震波形の推定を行う。

図:MeSO-net観測点における地表地震記録の推定

2c

スマートフォンによる揺れ観測技術の開発

分担責任者:防災科研 マルチハザードリスク評価研究部門 主任研究員 中村 洋光

首都圏の住宅・企業等を対象にモニター募集を行い、スマートフォン地震計インストール済み端末を設置し、観測技術を高度化する運用体制を構築する。サーバの対多数同時接続テストを行い、大規模展開時の実効性を確認し、API等による配信システムのプロトタイプ開発を行う。モニターからのフィードバックを踏まえ、稼働率改善のための検証を実施し、併せてモニターへの成果還元を目指した可視化技術開発を実施する。データ配信ならびに収集システムについて、安定的な運用継続の課題を洗い出す。

図:スマートフォンによる揺れ観測技術の開発

2d

MeSO-net観測点~サテライト観測点群間の揺れデータ伝送技術の開発

分担責任者:(株)東芝 研究開発センター 情報通信プラットフォーム研究所
コンピュータ&ネットワークシステムラボラトリー スペシャリスト 工藤 浩喜

サテライト観測点における揺れデータの伝送に必要な地震時のトリガー機能やデータの無線伝送機能・省電力機能等について検討する。そして揺れデータ伝送無線機を複数製作し、MeSO-net観測点の試験観測を通じて長期間の設置に耐えうる高度化や改良を加え、その性能を検証する。

図:MeSO-net観測点~サテライト観測点群間の揺れデータ伝送技術の開発

2e

首都圏における過去/未来の地震像の解明

分担責任者:サブプロ(b)統括 /東京大学 地震研究所 / 情報学環・学際情報学府 教授 酒井 慎一
分担責任者:神奈川県温泉地学研究所 研究課 主任研究員 本多 亮

MeSO-net等の観測データから「首都圏・伊豆地方のプレート構造・3次元減衰構造」、地震カタログから「コンプリートネスマグニチュード・b値の3次元分布」を求める。従来アルゴリズムを整理し、統計学的手法から「空間相関を用いた多変量版震源決定アルゴリズム」を開発。 機械学習によるモデルのパラメータ推定プログラムを実装する。低品質データを分析し、首都圏でも適用可能な自動震源決定手法を高度化。過去~現在の首都圏・伊豆地方の地震活動を整理・統合したデータにより地下構造を推定。3次元階層化地震活動予測モデルの開発を進め、将来の震度分布を高精度に推定する手法を検討する。

図:首都圏における過去/未来の地震像の解明